📅 公開日:2026年3月20日
【応用情報技術者試験】ネットワーク完全解説|TCP/IP・ルーティングを図解で理解する
応用情報技術者試験において、ネットワーク分野は毎回必ず出題される最重要テーマのひとつです。午前試験では概念・プロトコルの知識が問われ、午後試験ではネットワーク構成図を読み解く応用力も求められます。本記事では、試験に頻出の TCP/IP の仕組み と ルーティング について、基礎から丁寧に解説します。
1. TCP/IP とは何か
TCP/IP とは、インターネット通信の基盤となるプロトコル群の総称です。「TCP/IP」という名前は代表的な2つのプロトコル――TCP(Transmission Control Protocol) と IP(Internet Protocol)――から来ていますが、実際には多数のプロトコルの集まりを指します。
インターネットを「宅配便の仕組み」に例えると理解しやすくなります。荷物(データ)を送るとき、宛先の住所(IPアドレス)を箱に書き、配送経路(ルーティング)を通って届けます。壊れ物の場合は「割れ物注意」シールを貼って丁寧に扱います(TCP の信頼性制御)。この「住所の仕組み」が IP、「丁寧な取り扱いの仕組み」が TCP に相当します。
2. TCP/IP の4層モデル
TCP/IP は以下の4層構造で理解されます。試験では OSI 参照モデル(7層)との対応もよく問われます。
| TCP/IP 層 | 主な役割 | 代表的なプロトコル | OSI 参照モデルとの対応 |
|---|---|---|---|
| アプリケーション層 | ユーザーへのサービス提供 | HTTP, HTTPS, FTP, SMTP, DNS | 第5〜7層 |
| トランスポート層 | 端末間の通信制御 | TCP, UDP | 第4層 |
| インターネット層 | IPアドレスによる経路制御 | IP, ICMP, ARP | 第3層 |
| ネットワークインターフェース層 | 物理的なデータ転送 | Ethernet, Wi-Fi | 第1〜2層 |
ポイント:OSI との対応を確実に覚える
試験では「HTTP は OSI の第何層か?」という問いが頻出です。アプリケーション層は OSI の 第7層(アプリケーション層) に対応しますが、TCP/IP のアプリケーション層は OSI の第5〜7層をまとめた概念である点に注意しましょう。
3. IP アドレスとサブネット
IPアドレスの構造
IPv4 アドレスは 32 ビットの数値で、8ビットずつ4つに区切って10進数で表します(例:192.168.1.10)。IPアドレスは ネットワーク部 と ホスト部 に分かれており、どこで区切るかを示すのが サブネットマスク です。
IPアドレス: 192.168.1.10
サブネットマスク:255.255.255.0(= /24)
ネットワーク部:192.168.1
ホスト部: 10
CIDR 表記
サブネットマスクは /24 のように プレフィックス長 で表すことも多いです。/24 は先頭から24ビットがネットワーク部であることを意味します。
| CIDR | サブネットマスク | ホスト数(利用可能) |
|---|---|---|
| /24 | 255.255.255.0 | 254 |
| /25 | 255.255.255.128 | 126 |
| /26 | 255.255.255.192 | 62 |
| /30 | 255.255.255.252 | 2 |
ホスト数の計算式は 2^(32 - プレフィックス長) - 2 です。マイナス2はネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの分です。
試験頻出:サブネットの計算
例題) 172.16.0.0/20 のネットワークのブロードキャストアドレスを求めよ。
/20 → ホスト部は 32 - 20 = 12 ビット
ホスト部をすべて1にする → 2^12 - 1 = 4095
172.16.0.0 の第3・4オクテット(16ビット)のうち、
ネットワーク部(20ビット)の第3オクテット上位4ビットは固定:0000
ホスト部:下位4ビット+第4オクテット全8ビット
→ 172.16.15.255 がブロードキャストアドレス
4. TCP と UDP の違い
トランスポート層の主役である TCP と UDP は、頻繁に比較問題として出題されます。
TCP(Transmission Control Protocol)
TCP は 信頼性を重視した コネクション型プロトコルです。データが確実に届くよう、以下の仕組みを持ちます。
- 3ウェイハンドシェイク:通信開始前に SYN → SYN/ACK → ACK の3ステップで接続を確立する
- 順序制御:バラバラに届いたパケットを正しい順序に並び替える
- 再送制御:ACK が返ってこなければ自動的に再送する
- フロー制御:受信側の処理能力に合わせて送信量を調整する
よく使われる場面: Webブラウジング(HTTP/HTTPS)、メール(SMTP)、ファイル転送(FTP)
UDP(User Datagram Protocol)
UDP は 速度を重視した コネクションレス型プロトコルです。信頼性より低遅延を優先するため、以下の特徴があります。
- 接続確立なしにデータを送りつける
- 到達確認・再送なし
- ヘッダが小さくオーバーヘッドが少ない
よく使われる場面: 動画ストリーミング、VoIP(音声通話)、DNS 問い合わせ、オンラインゲーム
| 比較項目 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 接続方式 | コネクション型 | コネクションレス型 |
| 信頼性 | 高い(再送あり) | 低い(再送なし) |
| 速度 | 低め | 高め |
| ヘッダサイズ | 20バイト以上 | 8バイト固定 |
| 用途 | HTTP, FTP, SMTP | DNS, 動画, 音声 |
5. ルーティングの仕組み
ルーティングとは
ルーティングとは、パケットをどの経路で転送するかを決める仕組みです。ルータは受け取ったパケットの宛先IPアドレスを見て、ルーティングテーブルを参照し、次に転送すべきインターフェースを決定します。
駅の乗り換え案内に例えると、目的地(宛先IP)に対してどの路線(インターフェース)に乗ればよいかを調べる「路線図」がルーティングテーブルです。
ルーティングテーブルの読み方
宛先ネットワーク サブネットマスク ネクストホップ インターフェース
192.168.1.0 255.255.255.0 192.168.0.1 eth0
10.0.0.0 255.0.0.0 10.0.0.1 eth1
0.0.0.0 0.0.0.0 203.0.113.1 eth2 ← デフォルトルート
宛先IPに一致するエントリが複数ある場合、最も長いプレフィックスのエントリ(最長一致) が優先されます。これを ロンゲストマッチ(最長プレフィックス一致) と呼び、試験でもよく問われます。
静的ルーティングと動的ルーティング
ルーティングには大きく2種類があります。
静的ルーティング(スタティックルーティング)
管理者が手動でルーティングテーブルを設定します。小規模ネットワークや経路が固定された環境に向いています。設定は手間がかかりますが、余計なトラフィックが発生せず、動作が予測しやすいのが利点です。
動的ルーティング(ダイナミックルーティング)
ルータ同士がルーティングプロトコルを使って経路情報を自動交換します。ネットワーク障害時に自動で迂回路を見つけられるため、大規模・複雑なネットワークに適しています。
6. 主なルーティングプロトコル
応用情報では、各ルーティングプロトコルの特徴と使い分けが問われます。
RIP(Routing Information Protocol)
- 距離ベクタ型:ホップ数(経由するルータの数)を指標に経路を選択
- 最大ホップ数は 15(16以上は到達不能)
- シンプルで設定が容易だが、大規模ネットワークには不向き
- 更新間隔:30秒ごとに経路テーブル全体をブロードキャスト
OSPF(Open Shortest Path First)
- リンクステート型:ネットワーク全体のトポロジを把握してダイクストラ法で最短経路を計算
- コストはリンクの帯域幅を基準に計算
- 収束が速く、大規模ネットワークに適している
- エリアという概念で階層化が可能
- 試験では RIP との対比で最も頻出
BGP(Border Gateway Protocol)
- パスベクタ型:インターネット上の AS(自律システム)間で経路情報を交換
- ISP 間などの大規模なインターネットルーティングに使用
- 経路選択には様々な属性(AS パス、MED など)を使用
| プロトコル | 種別 | 指標 | 規模 |
|---|---|---|---|
| RIP | 距離ベクタ型 | ホップ数 | 小規模 |
| OSPF | リンクステート型 | コスト(帯域幅) | 中〜大規模 |
| BGP | パスベクタ型 | AS パスほか | インターネット規模 |
7. 試験でよく問われるプロトコルまとめ
| プロトコル | 用途 | ポート番号 |
|---|---|---|
| HTTP | Web通信(平文) | 80 |
| HTTPS | Web通信(暗号化) | 443 |
| FTP | ファイル転送 | 20(データ), 21(制御) |
| SMTP | メール送信 | 25 |
| POP3 | メール受信 | 110 |
| IMAP | メール受信(サーバ管理) | 143 |
| DNS | ドメイン名解決 | 53 |
| DHCP | IPアドレス自動配布 | 67(サーバ), 68(クライアント) |
| SSH | 暗号化リモート接続 | 22 |
| SNMP | ネットワーク機器管理 | 161 |
8. まとめ
ネットワーク分野は覚えることが多いですが、「なぜその仕組みが必要なのか」という背景から理解すると記憶に定着しやすくなります。
- TCP/IP の4層モデルと OSI 参照モデルの対応関係を確実に押さえる
- サブネット計算はパターンで慣れておく
- TCP と UDP の違いは具体的なプロトコル名と結びつけて覚える
- ルーティングプロトコルは RIP と OSPF の対比を中心に理解する
理解度を確認したい方は、HiDeckerのネットワーク関連問題で実際に問題を解いてみましょう。知識の抜け漏れをピンポイントで発見できます。